【修理依頼】Dioカーボン嚙み

AF68 Dioチェスタ

エンストしてエンジンが始動しなくなったとの事で、修理の依頼をいただきました。

まずは、簡易的なカーボン除去として、プラグホールからエンジンコンディショナーを注入します。

プラグホール

スパークプラグを外したところです。

見にくいですが、プラグホールが見えます。

エンジンコンディショナー注入

プラグホールにエンジンコンディショナーを注入します。

燃焼室をエンジンコンディショナー漬けにする

こんな感じで、燃焼室をエンジンコンディショナーで満たしてやります。

しばらく放置してから、セルでエンジンを回します。エンジンコンディショナーがプラグホールから勢い良く飛び出します。

これを数回繰り返します。

スパークプラグを取付け、プラグコードをはめてエンジンが始動するか確認します。エンジンが始動する気配はまったく感じられませんでした。シリンダーヘッドを外してバルブを洗浄しないと直りません。大変な作業になりますが、エンジンを下ろしてシリンダーヘッドを分解していきます。慣れれば大したことではない作業です。

車体×エンジン のハーネス

エンジンに繋がっているハーネスとホースを外していきます。ハーネスは左図のように一か所にコネクタが集中していますので、コネクタを外していきます。

アース線だけコネクタではなくビス止めされているので、注意します。次の画像にあります。

アース線がイグニッションコイル固定ボルトと共締め
車両右側から見た写真
スロットルケーブル

スロットルケーブルを外します。左図の赤丸で固定されています。

フューエルホース

フューエルホースを外します。

フューエルホースの先端

フューエルホースの先端は、まずゴムを引っ張ります。

フューエルホースの先端

ゴムが取れたら、ホースの先端を引っ張れば、ホースが抜けます。

ブローバイホース

シリンダーヘッドカバーからブローバイホースを外す。

このホースは、エアクリーナーに繋がっているため、エアクリーナーを外す時はこのホースを外す必要があります。エアクリーナー側で外しても良いですが、後でシリンダーヘッドカバーを外すので、こちら側を外しましょう。

アウトレットチューブを固定しているバンド

エアクリーナーを外します。

エアクリーナーのアウトレットチューブを固定しているバンドを緩めて、スロットルボデーからアウトレットチューブを抜き取ります。

エアクリーナーBOX

エアクリーナーBOXを固定しているボルトを外します。

エアクリーナーBOX後ろ側

エアクリーナー後ろにホースが繋がっているので、これも外します。

クラッチカバーに繋がっているホースのバンド

クラッチカバーに繋がっているホースを外します。

ホースを外したところ

これで車体側とクラッチカバーを切断出来ました。あとは、リヤブレーキケーブルです。

Rrブレーキのブレーキアジャストナット

ブレーキアジャストナットを外します。

リヤブレーキケーブル固定ステー

リヤブレーキケーブルを固定しているステーのボルトを外します。

リヤブレーキケーブルが外れたところ

リヤブレーキケーブルが外れました。

これでエンジンを下ろす準備が整いました。

リヤサス固定ボルト

リヤサスを固定しているボルトを外します。

このボルトを外すと、車体が下がるので気を付けましょう。

ボルトを抜く時は、車体を少し持ち上げながら行なうと抜きやすいです。

エンジン固定ボルト

エンジンを固定しているボルトを外します。

このボルトを外すとエンジンが外れるので、注意します。

エンジンが外れたところ

エンジンが外れました。

ここからは、エンジン単体の作業に移ります。

マフラーがじゃまなので、先にマフラーを外していきます。

マフラー固定ボルト

マフラー固定ボルトを外します。

エキパイ固定ナット

エキパイ固定ナットを外します。

これでマフラーが外れます。

シリンダーカウル

シリンダーカウルを外していきます。

シリンダーカウルは、上・下・横の3つで構成されています。

シリンダーカウル

こちらのビスも外します。

シリンダーカウル×エンジン 固定ボルト

シリンダーカウルを固定しているボルトを外します。

ハーネスクリップ

シリンダーカウルに付いているハーネスのクリップを外します。

インジェクタのコネクタ

インジェクタのコネクタを外します。

インジェクタのハーネスを固定しているクリップ

インジェクタのハーネスを固定しているクリップを外します。

O2センサーのコネクタ

O2センサーのコネクタがシリンダーカウルの爪に引っかかっているので、これを外します。

シリンダーカウルの爪

シリンダーカウルの爪からハーネスを外す。

シリンダーカウル下側

シリンダーカウル下側を外します。

インテークマニホールド固定ナット

スロットルボデーをインテークマニホールドごと外します。

スロットルボデーとインテークマニホールド

スロットルボデーが外れました。

シリンダーカウル横

シリンダーカウル横側を固定しているボルトを外します。

シリンダーカウル横

シリンダーカウル横側が外しました。

次はシリンダーカウル上側を外します。

シリンダーカウル上側

シリンダーカウル上側は、そのまま手で取れます。

シリンダーヘッドカバーボルト

シリンダーヘッドカバーボルトを外します。

シリンダーヘッドカバー

シリンダーヘッドカバーが外れました。外れない場合は、プラスチックハンマーで軽く叩いてやれば外れます。

クランクシャフトタイミング

クランクを回し、圧縮上死点に合わせます。

フライホイールのサビが酷いので、刻印に黄色のマーカーで印を付けています。

バルブの開閉を見ながらフライホイールの刻印と、エンジン側の切り欠きを合わせて、圧縮上死点にします。

合わせマーク拡大

「バルブの開閉を見ながら」とは、具体的に言うと、「排気バルブが閉じる直前に吸気バルブが開き始めた」時の上死点が排気上死点なので、その後に来る上死点が圧縮上死点です。なぜ圧縮上死点に合わせる必要があるかと言うと、圧縮上死点は、吸気バルブと排気バルブが共に閉じていますので、ロッカーアームがバルブを押し下げていない状態となります。このフリーの状態で作業したいためです。

カムスプロケット

圧縮上死点の時の、カムスプロケットの位置を覚えておきましょう。

見にくいですが、カムスプロケットにスリットが入っています。

カムスプロケットのスリット

スリットに赤線を入れています。この状態が圧縮上死点時のカムスプロケット位置です。少し斜めになっているように見えます。カムスプロケットを組み付ける時は、この状態で組み付けます。ズレるとタイミングが狂うので、気を付けましょう。

クランクの回転防止

カムスプロケットを固定しているボルトを外します。クランクが回転しないように、スピンナーハンドルでクランクを固定します。

カムスプロケット固定ボルト

カムスプロケット固定ボルトがエンジン内に落下しないように、ウエスを突っ込んでボルトを外します。

カムチェーンテンショナー

カムチェーンテンショナーを固定しているボルトを外します。

このボルトを外す前に、カムチェーンテンショナー中央のビスを外しておくといいです。このビスが結構固いので、カムチェーンテンショナーを外した後だと苦労します。

カムチェーンテンショナー

カムチェーンテンショナーが外れました。

カムスプロケット

カムチェーンテンショナーを外したので、カムチェーンがフリーになりました。カムスプロケットが手で外せます。

シリンダーヘッドボルト・ナット

シリンダーヘッドを外す作業に移ります。

シリンダーヘッドナットと、シリンダーヘッドボルトを外します。

シリンダーヘッドナットは、均等に緩めていきます。(4つのナットを少しずつ緩めていく)

カムシャフトホルダー

カムシャフトホルダーを抜き取ります。

O2センサーのハーネス

シリンダーヘッドにO2センサーが付いていますので、ハーネスを外します。

O2センサーのハーネス

手で引っ張れば取れます。

シリンダーヘッド

シリンダーヘッドを取り外します。固くて取れない場合は、プラスチックハンマーで軽く叩いて取ります。

ピストン

ピストンが見えます。カーボンで汚れています。

シリンダーヘッドガスケットを綺麗に取り除きます。

燃焼室

シリンダーヘッドの燃焼室です。同じくカーボンで汚れています。

シリンダーヘッドガスケットを綺麗に取り除きます。

シリンダーヘッド

バルブを外す作業に移ります。

バルブスプリングコンプレッサー

バルブスプリングコンプレッサーを使って、バルブスプリングを押し縮めます。

コッターピン

コッターピンが浮いてきます。

コッターピン

浮いたコッターピンをマグネットで取ります。無くさないように気を付けます。

バルブスプリング

バルブスプリングとバルブスプリングリテーナーを外します。

もう片方のバルブスプリングも同じ要領で取り外します。

バルブ

バルブが取れました。特にエキゾースト側が汚いです。

バルブ拡大図
ナイロンたわし

ナイロンたわしと、エンジンコンディショナーでバルブを磨きます。

洗浄後のバルブ

綺麗になりました。力がいる作業です。指が疲れますが、根気よくカーボンを除去します。

燃焼室

シリンダーヘッドの燃焼室も、ナイロンたわしとエンジンコンディショナーで綺麗にします。

バルブステムシール

バルブステムシールを新品に交換します。

手で取れます。

バルブステムシール

劣化したバルブステムシールは、エンジンオイルのオイル下がりの原因となり、マフラーから白煙が出ます。ここまで分解しているのだから、ついでに新品に交換します。

洗浄したピストン

ピストンも洗浄しました。

シリンダーヘッドガスケット

新品のシリンダーヘッドガスケットを組み付けます。

後は、逆の手順で組み付けていけば完了です。

無事にエンジン始動しました。アイドリングも安定しています。

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